初の地元での開催を実現させた2022年春えも博。
20もの観光メニューに計338人が参加した
今回の取り組みについて、事務局を務めたフウドの
為政伸彦館長に感触や、秋に予定している次回への展望を
語ってもらいます。
コロナ対策万全を期しての開催の手ごたえ
ー今回のえも博は2022年2月23日~3月13日に
開催されました。会期は広島県内の
新型コロナウイルス感染症のまん延防止等
重点措置期間とも一部重なっていて、
コロナ禍での開催という意味では苦慮した
面もあったのではないかと思いますが?
為政:プログラム実施者や来場者には
感染症対策の徹底をお願いして進めており、
結果コロナ禍に大きなトラブルなく
終えることができた点は
最大の収穫だと思っています。
参加者アンケートでも、86%から
全体的に「とても良かった」との
評価を得ることができました。
ただコロナの影響で開催前に十分な
宣伝をすることができず、関係者の人脈を
生かした集客がメインとなった面もある。
アンケートでは江田島市内在住者の参加
が最も多く約4割を占めました。
他には広島・呉市在住者が4割でした。
ー『えたじまの暮らし』を追体験する観光
メニューの博覧会をうたって開かれましたが、
感触としてはいかがでしたか?
為政:江田島市外から参加した人が
江田島の観光資源を知る機会になったのは
もちろんですが、『えたじまの暮らし』を
テーマに組み込んだプログラムは実際に
参加した江田島市民の方にとっても
新鮮に感じられる内容もあったようで、
市民が地元の魅力を再発見する場にも
なっていたようですね。
参加者の喜ぶ顔を見て、プログラムの企画に
取り組んだ実施者も手ごたえを実感
されていたようでした。
ただ、追体験という意味では
受け身の状態で参加するメニューも
あり、体験度合については
メニューによってばらつきが
見られました。
えも博で実現したコラボ企画の可能性
ー今回のえも博で、具体的に新たな
観光ツールのPRにつながりそうな
プログラムも開発されたそうですね?
為政:はい。『江田島の食文化、復刻!
ジンギスカンを食べよう』ではえも博のために
ジンギスカン関連のプログラムの実施を
検討していた『ラム亭』(ホテルご安航)と、
ジンギスカン用のタレの開発を手掛けていた
『めん処にしむら庵』がコラボして、
かつての江田島町の食文化でもあった
ジンギスカン鍋の復刻・お披露目に
つながったという背景があります。
ジンギスカンはにしむら庵ではメニュー化も
始まっていて、えも博が新メニューのPRに
ひと役買うことができました。
その他にも事業者同士がコラボして実現した
プログラムも複数あります。
コラボメニューの企画者からは
「『地元の資源を利用してこういった
企画ができるんだ』ということを相手に
知ってもらいたい」という声もあり、
今後の江田島市の観光ツールの
バリエーションアップにつながる
動きになっていたのではないかと、期待しています。
手探り・手づくりの感覚で開発されていく観光プログラムの魅力
ーその他にも、えも博の
役割を挙げるとすれば?
為政:今回のプログラム実施者は、職業柄
観光客やレジャー客に触れ慣れている人も
いれば、観光メニューに関わるのがほとんど
初めてという人もいて多彩でした。
プログラムももともと江田島市内への
観光客などに提供された実績のあるメニューに
アレンジの加わったパターンもありますが、
実施者がほぼイチからつくり上げた
ものも多かったです。
えも博としては後者の育成・フォローという
面が大きいかな、と思っています。つまり
「江田島市に来る人たちのおもてなしを
したいけど、どのように企画すれば良いのか
分からない」といったイベント初心者の方
がゼロから観光プログラムを考案して
実施するまでのプラットフォームのような
役割ですね。
あと、えも博の観光メニューをきっかけに
江田島市外からファミリー層などに足を
運んでいただき、その後市内の飲食店や
周遊できるスポットにも足を向けて
いただく流れをつくることも重要ですね。
発展と飛躍を信じて、秋のえも博にバトンをつなぐ!
ー2022年度も秋にえも博開催が
予定されています。
今回と比べて変わっていく点なども
出てくると思いますが、どのような構想を
抱いていますか?
為政:今回のように体験をテーマに
組み込むかどうかは、決まっていません。
参加者がどのようなことを望んでいるか、
ニーズも把握した上でどのようなメニューが
ふさわしいか、どこを強化すべきか、
検討していくことになるため
白紙の部分も大きいです。
スケジュール面で考えると、例えば参加者が
同じ日に複数のプログラムに参加できるように
時間調整を図り、プログラム同士のつながりも
持たせるように工夫したい。
そういう意味でも準備までのプロセスの中に、
実施者同士の交流を深める場を設けることも
大事と考えています。
実は今回も実施者の中から「横のつながりを
持ちたい」という声があり、交流会を開いて
現状の計画や課題感などを共有する機会を
つくったという経緯があります。
実施者同士のつながりだけでなく、
イベントシーズンとも重なるため、
参加者に江田島市内でより充実した時間を
過ごしていただくため市内の他のイベント
関係者や飲食店など各事業者との
つながりを深めていくことも重要ですね。
ーえも博の各プログラム実施者には今後、
どのようなステップを求めますか?
為政:えも博で実施したプログラムは
通年で展開できる内容も多いので、
各自でプログラムを事業化もしくはリニューアル
して時期を問わず持続して開催していく形に
なれば理想的。
えも博発の観光メニューとして、事務局としても
まとめて宣伝するなどバックアップしたいですね。
ですのでえも博期間中に開催するだけでなく、
各自で持続して展開できる観光メニューの開発に
取り組むという視点が重要。
持続可能なプログラムを発掘できるように、
事務局としても力を尽くしたいです。